• 対アップル規制には反対する-「アップルは私の先生だ」
  • 「われわれはすでに米国の先を行っている」

中国最大のテクノロジー企業、華為技術(ファーウェイ)を創業した任正非最高経営責任者(CEO)は、同社の存続を脅かす米政府の制裁措置に屈しない姿勢を示している。

  任氏(74)はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、トランプ政権による禁輸措置がライバルであるエリクソンやノキアに対してここ2年ほど積み重ねてきたリードに影響を与えると認めた上で、スマートフォンと第5世代(5G)移動通信における優位を維持するために、独自の半導体供給強化策もしくは代替措置を見いだしていくと述べた。

  ファーウェイは時間があれば自ら解決策を見いだす能力があると任氏は主張。数年にわたり半導体の設計を進め、今は自社製スマートフォンの多くでそうした半導体を使用しているほか、スマホやサーバー向けの基本ソフト(OS)の開発にも取り組む。

  ただ任氏はどれくらいのスピードでこうした代替策を強化できるかとの質問に正面から答えることは避け、「われわれの修理工がどれだけ素早く飛行機を直せるか次第だ」とし、「金属もしくは布、紙とどんな材料を使っていようが、目的は飛行機を飛ばし続けることだ」と話した。社内での対策がうまくいかなければ、急成長を遂げている消費者部門が低迷し、クラウドサーバーなどの新規開拓事業が頓挫する恐れもある。

  米政府が対ファーウェイ禁輸措置に加え、中国の有望な人工知能(AI)企業に規制の網を広げる可能性がある中で、中国政府が米国の大企業を本土市場から締め出すとの観測も浮上。ゴールドマン・サックスのアナリストは、中国がアップル製品を禁止すれば、アップルは利益全体の3分の1近くを失い得ると試算している。

  任氏はそうした対アップル規制に反対すると表明。「まずそんなことは起こらないだろう。もしそんなことがあれば、私は真っ先に反対する。アップルは私の先生だ」と述べた。「生徒としてなぜ先生に反対するのか」。

Billionaire Huawei Founder Ren Zhenfei Defiant in Face of Existential Threat
任CEO(5月24日)Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

  トランプ政権にとって最大の懸念は、ファーウェイがテクノロジー超大国になる中国の野望を主導しつつ、中国政府のスパイ活動を手助けすることだ。同社はかねてから、米企業から知的財産を盗んだとしてシスコシステムズやモトローラ、TモバイルUSなどから提訴されている。こうした窃取がファーウェイをテクノロジー企業として進化させることに寄与したと批判する向きもあるが、任氏はそうした主張を一蹴。

  「私は明日の米国製テクノロジーを盗んだのだ。米国はそうしたテクノロジーを持ってさえいない」と語った上で、「われわれはすでに米国の先を行っている。もしわれわれが後れを取っているなら、トランプ大統領が執拗(しつよう)にわれわれを攻撃する必要はないだろう」と指摘した。

Billionaire Huawei Founder Ren Zhenfei Defiant in Face of Existential Threat
インタビューに応じる任CEO(5月24日)Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

  毛沢東時代の大飢饉(ききん)を生き延びた任氏は1987年にファーウェイを創業した。同社捜査の一環として米国の要請に基づきカナダで昨年逮捕された孟晩舟最高財務責任者(CFO)は任氏の長女。

原題:Billionaire Huawei Founder Defiant in Face of Existential Threat(抜粋)