[東京 30日 ロイター] – 企業連合を組む日産自動車(7201.T)と仏ルノー(RENA.PA)、三菱自動車(7211.T)の3社のトップが29日、日産本社(横浜市)で定例会合を開いた。ルノーが欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)(FCHA.MI)から受けた経営統合案について日産と三菱自に説明し、統合が実現した場合の連携強化を両社に求めた。両社は引き続き統合計画の詳しい説明を求めて内容を見極めたい考えだ。 

会合には、ルノーのジャンドミニク・スナール会長とティエリー・ボロレCEO、日産の西川広人社長兼CEO(最高経営責任者)、三菱自の益子修会長兼CEOの4人が出席した。 

日産の西川社長は同日夜、記者団に対し、ルノーとFCAの統合案について「間口が広がる」と述べ、積極的に評価する姿勢を示した。統合案は日産にとって「非常にオポチュニティはある。そういう意味ではポジティブな面が多い」と指摘。と同時に「日産の利益からみてどういう部分があるかどうかを細かく見たい」とも述べた。 

統合案に対する日産の関わり方については「基本的には(ルノーとFCAの)2社の話し合い。その中でわれわれにどういうチャンスがあるのか、どういう部分を考えなければいけないのかをこれからみていく」と語った。北米市場ではFCAは競合相手にもなるため、「われわれが議論していく部分が多くなる」との見解も示した。 

一方、ルノーによる日産に対する統合提案が撤回されたかとの問いに対し、西川社長は「日産が今やらなければいけないのは事業・収益回復とガバナンスの立ち上げで、それが一番大きなところ」とし、「これはスナールさん(ルノー会長)も十分理解いただいていると思う」と語り、「そういう中で、彼らはFCAとの統合を優先していくのだ思う」との考えを示した。 

三菱自の益子会長も同日夜、記者団に対し、統合案について「ざっくばらんに」議論し合ったと話した。そのうえで「当社のメーンのマーケットはASEAN(東南アジア諸国連合)。そこで(北米や欧州を主力とするFCAと)どういう協業が出てくるのか。なかなか判断は難しい」と語り、統合案で「われわれがどういう貢献ができ、どういうものを享受できるのか、見極めが必要だ」と強調した。 

益子会長によると、ルノー側は自動車産業が非常に難しく厳しい時期にある中、「FCAとの提携で問題を克服していきたい。3社にとってもメリットはあると思う」と連携を呼びかけた。 

白木真紀、田実直美 編集:田巻一彦