通常国会は明日最終日を迎える。これに先立ってきょう、野党は内閣不信任決議案を衆議院に提出する。「不信任案の提出は解散の大義名分になる」、菅官房長官の一言で右に左に大揺れした野党だが、最終的には解散しないことがはっきりしたあとで、心おきなく不信任決議案の提出に踏み切った。別に野党の“へっぴり腰”を非難するつもりはない。そんなつまらない駆け引きより、もっと政策に力をいれてほしいという期待感を込めているつもりだ。立憲民主党は昨日、7月の参院選に向けた公約を発表した。これで自民党以下、主要政党の公約が出揃ったようだ。中身をみてがっかりした。政権を取る気迫が感じられない。せめて新自由主義を否定するぐらいの将来展望が欲しい。

日経新聞によると立憲民主党の公約の柱は、①ボトムアップ経済②多様性③エネルギー・環境④参加民主主義⑤外交・安全保障。一見して何を言っているのかよくわからない。日経新聞の要約に問題があるのかと思い、同党のHPで確認してみた。昨日の発表会見で使った資料が出てきた。多少の要約はあるが、資料の順番通りに日経新聞は掲載している。公約を掲載しているパンフレットは「#令和デモクラシー、まっとうな政治」とタイトルされた表紙についで政策が並べられている。「現在の日本は…、生活の不安定化など大きな変化にさらされています。…これからの日本には大きなパラダイムシフトが必要です」、だから「新しい政治=#令和デモクラシーの第1歩を踏み出します」。異論はない。賛成だ。どうやって実現するの?具体化に向けて「3つのパラダイムシフト」が出てくる。

第1が「ボトムアップ経済への転換」。要は家計を中心とした経済ということだ。自民党政権は企業や富裕層を中心とした経済運営を行なっていると暗に批判している。第2が「多様性を力にする社会への転換」。男女差別、LGBT、障害よる差別などをなくし、多様性のある社会へ転換しようと訴える。そして第3の原発ゼロを目指す「エネルギー・環境」へと続く。個々の公約に異論はないのだが、政治の根本を変えるために財源をどうするのか、現政権に取って代わる大胆な“提言”がない。要は政権批判のうえに成り立っている“パラサイト公約”でしかないのである。消費税を撤廃して金融所得課税を見直すぐらいでは、家計あるいは消費者を主体とした新しい経済に転換することは難しいだろう。例えば年金を賦課方式から積立方式に移管する際に必要となる800兆円の財源に踏み込んだ公約を、野党第1党には期待したいのだ。