• 米利下げ支持の用意まだない、ECBは9月まで動かない方向
  • アラムコIPOへ準備再開、保護主義の打撃、ペンス氏とんぼ返り
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Photographer: LUDOVIC MARIN/AFP

「国際通貨基金(IMF)で誰もが認めるリーダーシップを発揮した彼女なら、欧州中央銀行(ECB)を率いていける」とドイツのメルケル首相は、ECB次期総裁に指名されたクリスティーヌ・ラガルド氏に太鼓判を押しました。同氏に白羽の矢が立てられたのは、ポピュリズムの台頭や貿易戦争といった環境でユーロ圏の金融政策を指揮するには、学者としての知識よりむしろ、政治家としてのコンセンサス醸成力や、弁護士としての交渉スキルが物を言うとの期待があるのかもしれません。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

時期尚早

クリーブランド連銀のメスター総裁は利下げを支持する用意はまだないと述べ、ここ数カ月の状況は、経済データのソフトパッチ(軟化局面)が過ぎた後に当局が利上げを再開した2016年ごろに似ていると指摘した。「金融政策のスタンス変更を検討する前に、より多くの情報を集めることが望ましい」とロンドンで講演。「19年は経済が良好なパフォーマンスを維持するというのが、引き続き最もあり得る展開だ」と述べた。

秋風吹くまで

ECB当局者らは今月の会合で追加金融緩和に踏み切る用意はなく、景気に関するさらなるデータを待つ考えだと、事情に詳しいユーロ圏中銀の当局者が述べた。政策委員会メンバーらは見通しが悪化した場合には25日に行動することが可能だと一致しているものの、現状ではその次の9月会合へと傾いている。7月は追加緩和が近いことを示唆するため、ガイダンスの言い回しを微調整する可能性はあるという。ドラギ総裁は10月31日をもって8年間の任期満了を迎える。

超大型計画が始動

サウジアラビアは国営石油会社サウジアラムコの新規株式公開(IPO)に向けた準備を再開した。IPO計画は数カ月前に棚上げされていた。関係者によるとアラムコは最近、複数の投資銀行とこの計画を協議。サウジは2兆ドル(約220兆円)の企業評価を求めているが、見通しは不透明という。ムハンマド皇太子はニューヨーク上場にも熱心だが、アドバイザーらは訴訟リスクを理由に慎重な見解を示している。

ダウンサイドリスク

イングランド銀行(英中銀)のカーニー総裁は、保護主義の台頭で世界経済が「広い範囲で減速」し、大規模な政策対応が必要になる可能性があると警告した。英国に関しては、合意なき欧州連合(EU)離脱となった場合に設備投資に悪影響が及ぶ別のリスクもあると指摘。これまで発表された関税は英国の国内総生産(GDP)を0.1ポイント押し下げるだろうと予想した。自動車関税を含む全ての関税措置が発動された場合、押し下げ幅は0.4ポイントに拡大するという。

突然のUターン

ニューハンプシャー州に向かう専用機に乗り込んだペンス米副大統領は、急きょ予定を取りやめ、ホワイトハウスに戻った。「警戒を要する事態ではない」と報道官は説明。具体的な理由は明らかにされていない。副大統領の首席補佐官は記者団の質問に対し、国家安全保障上の問題や個人の健康問題は関係してないと答えた。

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