麻生太郎財務相は10月の消費増税後に景気が悪化するようなことがあれば、財政を出動させる用意があることを示唆した。

主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が閉幕した18日、フランスのシャンティイで記者団に話した。海外経済が脆弱(ぜいじゃく)な中で不確実性がないわけではないが、「今の段階で非常に景気が冷え込むということになると悲観的な状況を想定しているわけではない」と麻生氏は述べつつ、「そのうえで、もしいろんな事態が起きればそれなりの対応をしようというのは財政当局として考えている」と続けた。

G7会合後の議長総括では、世界経済は「2020年に向けて」緩やかに上向く見通しとし、6月の20カ国・地域(G20)首脳会議(大阪サミット)で使われた「本年後半」との文言を削除。世界経済の回復が従来見通していたよりも遅れていることを示唆した。

会見に同席した黒田日銀総裁は、回復の遅れは世界経済にとって大きな問題ではないとの見方を示し、物価上昇率が2%の目標まで距離があるなか引き続き粘り強く強力な緩和を推進していくとした。今月29日から始まる決定会合では最新の経済物価情勢を分析し、政策議論すると述べた。

18日に発表された財務省の貿易統計によると、6月の輸出は前年同月比6.7%減少と、7カ月連続のマイナスとなり、中国経済の減速や米中の貿易摩擦が日本経済に影響を与えていることをあらためて示した。