米国のボルカー前ウクライナ担当特別代表=3日、ワシントン(EPA時事)
米国のボルカー前ウクライナ担当特別代表=3日、ワシントン(EPA時事)

 【ワシントン時事】米下院は3日、トランプ大統領が民主党の有力大統領候補バイデン前副大統領に不利な情報を得ようとウクライナのゼレンスキー大統領に圧力をかけた疑惑で、ウクライナ側との折衝を担った高官のメールを公表した。トランプ氏が望む調査の開始を約束すれば首脳会談に応じる意向を伝えるなど、外交的立場を利用しようとする政権の姿勢が鮮明になった。

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 メールは下院委員会で同日非公開の証言に立ったボルカー前ウクライナ担当特別代表が提出した。

 7月25日のトランプ氏とゼレンスキー氏の電話会談が行われる直前、ボルカー氏はウクライナのイェルマーク大統領補佐官にメールを送信。「ホワイトハウスの話では、ゼレンスキー氏が大統領選の真相に迫る調査を確約すれば、ワシントン訪問の日程を確定できる」と伝えた。

 一方、ウクライナは、米国の政治に巻き込まれることを懸念。テイラー駐ウクライナ米臨時代理大使は7月21日のメールで「ゼレンスキー氏は(トランプ氏)再選のための政治的道具ではなく、真剣に扱われることを望んでいる」と記した。

 両政府は首脳会談の開催とバイデン氏らに関する調査開始を合わせて発表しようと準備したが、ウクライナからより積極的な対応を引き出そうとするホワイトハウスは、会談の日程をなかなか決めようとしなかった。米メディアによると、ボルカー氏は3日の証言で「首脳会談の遅れと対ウクライナ軍事支援保留は、ロシアに対抗する上で米国を死活的な同盟国とみるウクライナ高官をひどく懸念させた」と指摘した。