[マンビジ(シリア)/ロンドン/モスクワ 15日 ロイター] – トルコは15日、トランプ米大統領がシリア北部でのクルド人勢力に対する攻撃を即時停止するよう求めたにもかかわらず、攻撃を継続した。トルコによる攻撃が続く中、米軍撤退を受け、ロシアが支援するシリア軍が軍事的な要衝であるマンビジを勢力下に置くなどの動きが出ている。 

米軍撤退後の空白地帯にロシアの支援を受けるシリア軍は素早く流入。ロシアのインタファクス通信はロシア国防省の情報として、シリア軍が北東部マンブジの周辺約1000平方キロメートルの地域を勢力下に置いたと報じた。このほか、シリア軍はタブカ空軍基地のほか、水力発電施設2カ所やユーフラテス川にかかる橋なども掌握したとしている。 

こうした中、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は訪問先のロンドンで英国のジョンソン首相と会談し、トルコによるクルド人勢力攻撃は終了する必要があると表明。英首相報道官は声明で「ジョンソン首相とストルテンベルグ事務総長はシリア北部の情勢に深い懸念を表明した」とし、NATO加盟国としてトルコが果たしたシリア難民問題への対応に謝意を示すとしながらも、「実行中の作戦は終了される必要がある」と言明した。 

トランプ大統領は14日、シリアに侵攻したトルコに対する経済制裁を発表。同日にトルコのエルドアン大統領と電話会談を行い、シリア北部への軍事侵攻を即座に止めるよう求めた。ただ、米国の制裁措置は予想ほど厳しくなかったと受け止められ、外国為替市場ではトルコリラは対ドルで上昇した。