[ワシントン 27日 ロイター] – 過激派組織「イスラム国」(IS)の最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者が米軍特別部隊の急襲作戦によりシリア北部で死亡した。トランプ大統領が会見で発表した。 

大統領によると、急襲を受けバグダディ容疑者は自爆ベストを爆破させたという。2時間に及ぶ作戦で米軍に犠牲者は出なかったとしている。 

大統領は、トンネルに逃げ込んだバグダディ容疑者が、「(米軍の)イヌがトンネルの行き止まりに追い詰め、そこで彼がベストを爆破させ、3人の子供とともに死亡した」と述べた。 

ペンス副大統領らと作戦遂行を見守ったトランプ大統領は、今回の作戦でのロシア、シリア、トルコ、イラクの支援に感謝を表明。クルド人勢力からも有益な情報を得たことを明らかにした。 

ただ、米軍のシリア撤退を再考することはないと述べた。 

自身をムハンマドの後継者である「カリフ」と称したバグダディ容疑者は2010年以降、ISを率いていた。ISは一時シリアやイラクの国土を部分的に掌握し、「カリフ制国家」の樹立を宣言。ここ数年は一時の勢いを失っていたが、いまだ脅威とみなされていた。 

バグダディ容疑者はイラクとシリアの国境近くに潜んでいるとみられ、米国は容疑者確保に向け2500万ドルの報奨金をかけていた。 

現地の武装勢力幹部によると、作戦は27日未明にシリアのトルコ国境に近いイドリブ県バリシャ村でヘリコプターや軍用機、地上部隊を用いて急襲した。米軍はバグダディ容疑者と副官とみられる男のほか、男性3人と女性3人の遺体も回収したという。 

米軍とともに参加したクルド人主体のシリア民主軍(SDF)の司令官は、作戦は成功したと言明した。 

英国に拠点を置く民間団体のシリア人権監視団は、急襲で女性2人、子供1人を含む9人が死亡したことを明らかにしたが、バグダディ容疑者が含まれているかどうかは確認していない。