• 党内演説、なぜこのタイミングで公表なのか
  • 異例の事態の背景に高まる世論の圧力、医師の死去きっかけ-専門家
習近平国家主席
習近平国家主席 Photographer: Xinhua News Agency/Xinhua News Agency

政界トップの言動が謎のベールに包まれている中国で、今週末はベテランの専門家も理解に苦しむ異例の事態が起きた。

共産党の理論誌「求是」は15日、習近平国家主席が1月7日に党最高指導部の会議で行ったとする演説を公表。新型コロナウイルスの問題に初めて公に言及するほぼ2週間前の時点で、習主席が国としての取り組みを主導していたことを示す内容だ。問題はなぜこのタイミングで演説の詳細が公表されたのかだ。

「演説で分かったことよりも、分からなくなったことの方が多い」と話すのは「中国 危うい超大国」の著者、スーザン・シャーク氏だ。米国務次官補を務めた経歴のある同氏は、「演説はその様式も内容も不可解だ。国家のトップがこのように時系列で詳細に説明するのは奇妙だ」と話した。

ウイルスについて最初に警鐘を鳴らしながらも、当局によって罰せられた医師の李文亮氏が今月死去したことをきっかけに、当局の初動のまずさに対する国民の怒りが強まっている。中国政府は湖北省の幹部を更迭して、これに応じた。

南京大学の顧粛教授(法哲学)は国家主席が共産党内部で演説した内容を求是がさかのぼって公表したことについて、「極めて異例だ」と指摘。「李医師の死亡と感染拡大による被害悪化で、世論の圧力が高まった結果、こうした例外的な事態になった」と解説した。

原題:Rare Release of Xi’s Speech on Virus Puzzles Top China Watchers(抜粋)