新型コロナウイルス

新型コロナウイルスの感染拡大を収束させるため、政府は「緊急事態宣言」の対象地域で、人との接触機会の8割削減を目指していますが、一層の取り組みが必要だとして、各事業者などに対し、在宅勤務の徹底などを重ねて働きかける方針です。

新型コロナウイルスの感染拡大で、政府は「緊急事態宣言」を出した東京など7都府県で、人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減することで、できるだけ早く収束に向かわせたいとしています。

しかし、これまでの自粛要請によって、主要都市での人の流れが6割から7割ほど減っているものの、通勤する人の減少は十分ではないとしています。

安倍総理大臣は「この緊急事態を1か月で終えるためには、何としても実現しなければならず、もう1段の国民の皆さんの協力が不可欠だ」と述べていて、政府は各事業者などに対し、在宅勤務の徹底を図るなど、出勤者を最低7割減らすよう重ねて働きかける方針です。

また、政府は携帯電話の位置情報などを基に、人の流れの増減を示すデータを内閣官房のホームページ上に掲載する取り組みを始めました。

人が接触した機会の量を表すデータではないものの、国民や企業に目安として認識してもらい、目標の実現につなげたい考えです。

一方、医療現場では感染を予防する高性能の医療用マスクが不足していることから、政府は性能がほぼ同じで、産業界で保有している防じん用のマスクを代わりに配布できるよう調整を進めています。

中小の部品メーカー「正直難しい」

今回の政府の方針について、都内にある中小の部品メーカーの社長がNHKの電話取材に応じました。

このメーカーでは、これまでに出勤時間を早めたり遅らせたりできるフレックス勤務や在宅勤務を一部で取り入れ、出勤する社員の数を少ない時は半分程度に抑えているということです。

しかし、7割減らすことについて、メーカーの社長は「お客さまから仕事をもらっているうえ、製造業は工場の現場で作業をするので、全員にテレワークや自宅勤務を取り入れるのはなかなか難しい。出勤者を7割減らすことは正直、難しいと思っている」と話しています。

一方、感染の拡大が長期化し、緊急事態宣言の解除が5月初旬よりもさらに延びるような事態になれば、取引先からの受注は今よりも減って、かえって経営が厳しくなるとも考えています。

メーカーの社長は「とにかく7割減らすことに近づける最大の努力、最善を尽くさないといけない」として、今後は高齢の従業員を中心に有給休暇の取得を促すことにしています。

メーカーでは取引先からの受注に応えつつ、出勤する従業員をさらに減らすというギリギリの対応を迫られています。