[ワシントン/香港 22日 ロイター] – 中国政府が香港に国家安全法の制定を義務付ける新たな法案を全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に提出したことについて、ポンペオ米国務長官は22日、「横暴かつ破滅的」で、香港の自治の「終えんの前兆」と非難した。 

ポンペオ長官は「香港に国家安全法の制定を課す(中国の)提案を米国は非難する」とした上で、「米国は中国に対し、この破滅的な提案を再検討するとともに、国際義務を順守し、香港の高度な自治を尊重するよう強く求める」と述べた。 

さらに「中英共同宣言と香港基本法によって保証される香港の自治と自由を脅かすような決定をすれば、『一国二制度』などを巡る米国の評価への影響は避けられない」とした。 

トランプ大統領は前日、中国が香港に国家安全法を導入すれば、米国は「極めて強硬に対応する」と警告した。 

オブライエン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)はFOXニュースに対し、米政府には「不満を表明する多くの手段がある」と指摘。しかし、具体的な行動には言及していない。 

さらにオブライエン氏は「中国が香港に国家安全法の制定を義務付ける新たな法案を巡り強硬な行動に出れば、米国は対応する。英国や他の多くの友好国も対応するだろう」と述べた。 

英国統治下の香港で最後の総督を務めたクリス・パッテン氏は中国政府を「おびえた乱暴者の集まり」と批判。「前政権とは違い、習近平国家主席(訂正)が率いる中国は信用できない。習氏は独裁者のように国を取り締まり、自身と中国政府に異論を唱える人間を受け入れることができない」と述べた。 

カナダ、英国、オーストリアは共同声明を発表し、国家安全法提案について「深く懸念している」と表明。 

香港の民主化を求める活動家らは、香港の自由や世界の金融センターとしての地位が奪われると強い懸念を示し、抗議デモを呼び掛けた。