このニュースの発端は何か、まず気になった。2、3のニュースサイトを調べたが朝日新聞のデジタル版が詳しくフォローしている。発端は民間植物園の「韓国自生植物園」が26日に、「少女像にひざまずく日本の指導者の造形物『永遠の贖罪』の除幕式を行い、一般公開する」との報道資料を発表したことにある。26日に行った朝日新聞の取材に対して同園の金昌烈園長は、「韓国に少女像は多いが、責任ある人が謝罪する姿の像を造ればさらにいいと考えた」と話したという。日韓に時差はない。26日に韓国で発表された資料の記事がどうして28日に掲載されたのか理由は不明。朝日新聞によると金園長は27日に「除幕式の行事を中止する」と伝えてきたという。

26日にから27日にかけて水面下で何かがあったと推測される。問題山積の日韓関係に新たな問題の発生である。おそらく関係者はいろいろな気配りをしたことだろう。結果的には28日に各メディアが取り上げたことによって「少女像に謝る安倍首相像」問題が公になった。しかも、菅官房長官はこの時点で「国際儀礼上、許されない。仮に報道が事実であるとすれば、日韓関係に決定的な影響を与えることになる」と強い口調で述べている。朝日新聞によると菅長官は「事実確認はしていない」とわざわざ断っている。事実確認するまでもなく、当該の植物園はすでに除幕式などのセレモニーを中止している。おそらく像の一般公開も中止になるのだろう。

韓国外務省も「韓国政府として外国の指導者への国際的な礼譲を考慮する必要があるとみている」と発言している。少女像にひざまずく安倍首相像のニュースはよくよく見ると、日韓両政府にメディオアが絡んで演出された鎮静化策のようにも見える。ニュースが公になると同時にニュース性はなくなる。政治がらみのニュースには時々こういうものがあるような気がする。ニュースと一緒に書いてない背景が浮かび上がってくる。「謝る安倍首相像」もこうしたニュースの一つだろう。それはそれとして、このニュースをみた時、個人的には当該園長のなんと「幼稚なことか」と思った。この人の発想が韓国人一般からみれば例外であることを祈りたい。