2018年8月、米東部ペンシルベニア州のトランプ大統領の集会で「Qアノン」のサインを掲げる支持者。今年に入り、勢力の拡大が指摘されている(AP)
2018年8月、米東部ペンシルベニア州のトランプ大統領の集会で「Qアノン」のサインを掲げる支持者。今年に入り、勢力の拡大が指摘されている(AP)

 新型コロナウイルスの流行でトランプ米大統領の再選に逆風が吹く中、インターネット上で誕生した陰謀論を唱える極右集団「Qアノン」が勢いを見せている。「ディープステート」(影の政府)と闘う救世主としてトランプ氏を熱烈に支持するQアノン。今年の連邦議会選に向けた共和党予備選では、Qアノンの主張に理解を示す候補が勝利するなど、ネット外への“進出”の兆しもあり、米社会の警戒は高まっている。(ニューヨーク支局 上塚真由)

「闇の政府」と戦う救世主?

 Qアノンがインターネット上で出現したのは2017年秋ごろとされる。正体不明の「Q」というハンドル名でネット掲示板に書き込み、それを支持する人たちがQアノンとして集団を形成。アノンは「アノニマス(匿名性)」の略だ。

 彼らによると、政界エリートやセレブなど有力者が影の政府を支配し、国際的な児童買春などの犯罪に関与していると主張。トランプ氏はその影の政府を暴くために選ばれ、軍隊とともに闘っていると考えられている。根底にあるのは、エリート層に反発する「反エスタブリッシュメント(支配者階級)」の考え方だ。