[26日 ロイター] – 米政府は26日、北朝鮮のハッカーが世界中の銀行に不正アクセスし、違法な送金のほか、現金自動預払機(ATM)から不正に現金の引き出しを行っていると警告した。 

政府は、財務省と連邦捜査局(FBI)を含む4機関が合同で作成したサイバーセキュリティー報告書で、北朝鮮による金融に関連したハッキング行為は一時は低調になっていたものの、今年に入り再び活発化したと指摘。「2020年2月以降、北朝鮮は複数の国の銀行を再び標的にし、国際送金を行ったり、ATMから現金を引き出したりしている」と警告した。 

米当局は北朝鮮によるこうした不正行為を「ファスト・キャッシュ(Fast Cash)」戦略と名付け、背後に北朝鮮の対外工作機関である「偵察総局(RGB)」がいると指摘。こうした行為は16年から始まっていたが、最近になって手法が高度化すると同時に、規模も拡大したとしている。 

国土安全保障省(DHS)のサイバーセキュリティー担当のブライアン・ウェア氏は、北朝鮮が金融部門などに対するサイバー攻撃能力を高めたとの認識を表明。サイバーセキュリティーや外交政策の専門家は、北朝鮮は制裁措置で財政が苦しくなっており、こうしたサイバー攻撃で得られた資金を政府の運営に利用しているという見方を示している。