[東京 12日 ロイター] – 日銀の黒田東彦総裁は12日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による経済的打撃を緩和する手段が尽きたわけではないとし、追加的な金融緩和措置を講じる用意があることを強調した。

国際金融協会(IIF)主催のオンラインセミナーで、日本経済は4─6月に底打ちしたと指摘。全体的には数カ月前よりも「はるかに改善した」もようで、輸出や生産、資本支出は「かなり堅調」とした。

ただ、サービス業を中心とする消費は極めて弱く、効果的な新型コロナワクチンが開発されなければ、消費低迷が当面続く可能性が高いと言及。「新型コロナ感染症の影響を注意深く監視し、必要に応じて追加緩和措置を実施することを躊躇しない」と述べた。

その上で、「日銀は政策ツールを使い果たしたわけではなく、(新型コロナ感染症による打撃に)対抗するための多くの政策ツールを持っている。実施すべき措置を検討する上で、われわれは柔軟かつ革新的だ」と語った。

インフレ率に関しては、新型コロナ感染症が消費需要を「大幅に」抑制したため、当面はマイナスが続くと想定。ただ、経済回復とともに来年には回復すると見込んだ。

また、「すでに公平で安定かつ充実した医療保険や年金制度があるため、現時点ではいわゆる負の所得税やベーシックインカムは必要ない」と主張。20年債、30年債、40年債などの長期債利回りがプラス圏で推移していることが年金基金や生保の助けになっているとし、財政の持続可能性を中長期的に追求するという政府のコミットメントは、日本国債に対する投資家の信頼を維持するために非常に重要とした。

マイナス金利政策については、マイナス0.1%の金利が準備金の一部にしか課されていないとして、擁護する姿勢を示した。

このほか、デジタル通貨の将来的な発行に向けた要件や基本原則を検討するために、来春からデジタル円の試験を開始すると表明。「中銀のデジタル通貨が民間の決済サービスの代替や廃止につながらないことが非常に重要だ」とした。