【北京時事】中国の習近平政権は26~29日、共産党の重要会議、第19期中央委員会第5回総会(5中総会)を開き、第14次5カ年計画(2021~25年)と35年までの長期目標を討議する。米国との対立が深まる中、習近平国家主席は長期政権確立に向けた準備を本格化させるという見方が強まっている。

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 中国共産党は、中央委員会総会を原則年1回開き、重要政策を決める。5年ごとに開催される5中総会は2年後の次期党大会をにらみ、新たな5カ年計画や人事が検討されてきた。現時点で習氏の明確な後継候補は不在。5中総会で若手指導者が要職に起用されなければ、習氏の3期目続投がさらに現実に近づく。

 習氏は長期政権を見据え、中国経済の構造転換を目指しているもようだ。第14次5カ年計画は、習氏が新型コロナウイルスの感染拡大後、提唱する「双循環」という新たな経済成長モデルが柱となりそうだ。習氏は、内需が主導し外需を刺激して成長の循環を促す経済構造の実現を訴えてきた。

 「双循環」を提起する背景には「『世界の工場』として輸出に頼る従来の経済構造では将来が暗い」(北京の大学教授)という判断がある。新型コロナや香港問題などで米国や欧州との関係が急速に悪化し、貿易に軸足を置いた経済成長路線の継続は困難になっているのが実情だ。習氏は最近の広東省の視察で「われわれは100年に1度もないような大きな変動に直面しており、独自イノベーションによる自力更生の道を歩まないといけない」と強調した。

 一方、35年までの長期目標は、新たな国家像の青写真となる可能性がある。習氏は2期目に入る17年10月の党大会で、35年までに「社会主義の現代化を基本的に実現する」と表明した。

 米国との対立は「新冷戦」と呼ばれ長期化する様相を呈している。15年先を対象とする目標は、習氏の長期政権を前提としたものとなり得る。このため、現在の最高指導者ポストである総書記よりも上位の「党主席」が復活するのではないかという観測も出ている。