【ワシントン、ニューヨーク時事】米国務省当局者は25日、核兵器禁止条約の発効確定を受け、核保有国が加わらない同条約を支持する各国は「戦略的誤りを犯している」と批判した。当局者は条約について、核抑止力を要する現在の安全保障上の課題を考慮しておらず、核拡散防止条約(NPT)を弱体化させるなどと指摘した。

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 当局者は「われわれは軍縮プロセスを加速させる安保環境の実現を求める気持ちを多くの国と共有している」と表明。NPTの重要性を強調した上で、「米国はNPTを完全に順守しているが、ロシアや中国は違う」と主張した。

 さらに、中ロにすべての核弾頭の制限と強力な検証メカニズムを求めていると指摘。米政府として核軍縮に取り組む立場をアピールし、自国の核政策の正当化を図った。

 米主要メディアの多くは24日、核兵器禁止条約の発効が決まったことを報じず、米国の冷淡な姿勢を浮き彫りにした。米国では2017年に核兵器禁止条約が採択された際も大きくは報じられなかった。