【北京時事】中国の習近平国家主席は20日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、日本など11カ国による環太平洋連携協定(TPP)への参加を「積極的に検討している」と初めて表明した。国営新華社通信が伝えた。米国で政権交代に絡む混乱が続く中、貿易の大きな枠組みに関与する方針を打ち出し、今後の幅広い通商交渉で主導権を握りたい考えだ。

RCEP、中国の影響増大 大国インド不参加、復帰見えず

 中国指導部では李克強首相が今年5月、TPP参加に「前向きな態度」であると明らかにしていた。今回はトップの習主席が自ら意欲を示した上、表現も踏み込んだ。

 ただ、TPPは求められる貿易自由化の水準が高く、中国は国有企業改革などでかなりの痛みを迫られることになる。このため、早期の参加は困難との見方が強い。

 それでも首脳会議の場で意向を表明したのは、米国の政権交代をにらんだけん制の意図もあるとみられる。TPPは米主導で交渉が進められたが、トランプ政権は離脱に踏み切った。大統領選で勝利を確実にした民主党のバイデン前副大統領は復帰を視野に入れるものの、党内左派に配慮して態度を明確にしていない。

 一方、中国は15日、日本や韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)などとともに、地域的な包括的経済連携(RCEP)に合意したばかり。インドの離脱にもかかわらず、交渉をまとめ上げたことで、自信を深めている。

 習氏は多国間貿易体制の支持を改めて表明した上で、「自由で開放的な貿易と投資を促進する」と強調。経済のグローバル化と同時に、地域経済の一体化を継続していく必要があると訴えた。