[ニューヨーク 5日 ロイター] – 新型コロナウイルスワクチンに絡む詐欺がインターネット上で急増している。価格150ドルのワクチンを数日以内に配達することをうたう詐欺やコロナワクチンを早期に接種できる秘密リストへのアクセスを約束する電子メールなど手法は多様で、欧米政府当局者は注意を呼び掛けている。

詐欺は、コロナ感染症の急拡大が続く中、計画よりも緩慢なペースでの展開となっているワクチン接種を巡る不安に付け込んでいるとみられる。

米疾病対策センター(CDC)によると、米国では4日時点でワクチン接種を受けた人は約450万人と、政府が昨年末までの目標としていた2000万人を大きく下回る。

ロイターが調べたところ、匿名性の高いネット空間「ダークウェブ」やチャットアプリのテレグラム上で、コロナワクチン販売をうたう投稿が7件が見つかった。

ダークウェブのAgarthaではコカインや拳銃、偽札などと共に、偽のコロナワクチンが500ドルで販売されているほか、別のダークウェブでは「武漢科学研究所」出身を名乗るセラーが、寄付金や買い手の病歴と引き換えにコロナワクチンを提供している。

テレグラム上の複数のチャンネルでは、米モデルナをうたうワクチンを180ドル、米ファイザー・独ビオンテックを150ドル、英アストラゼネカを110ドルで販売する。

ワクチン詐欺について、ファイザーの広報はワクチンの偽造リスク低減に向けた措置を講じており、状況を注視しているとした。「本物のワクチンはオンライン上では販売されておらず、患者は決してネットで購入すべきではない」と注意を促した。

米サイバーセキュリティー会社レコーデッド・フューチャーの幹部リンゼー・ケイ氏によると、これまでに医療機関や国家備蓄からコロナワクチンが流出した形跡は確認されていない。