[ワシントン 5日 ロイター] – 米労働省が5日発表した1月の雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比4万9000人増と、伸びは市場予想の5万人増を下回った。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)からの回復を支援する政府の追加対策が必要な状況が浮き彫りとなった。

失業率は6.3%で、前月の6.7%から改善したものの、コロナ禍に伴う「雇用されているが休職中」の人の扱いが引き続きデータのゆがみとなっている可能性がある。このゆがみがなければ、失業率は6.9%だった。また、求職活動をあきらめる動きも失業率低下の一因とみられる。

6週間以上職がない人は400万人超と、失業者全体の4割を占めた。完全失業者数は350万人で、前月の340万人から増加した。

労働参加率は0.1%ポイント低下し61.4%。コロナ禍のあおりで大幅に悪化しており、女性の離脱が目立つ。

昨年12月の非農業部門雇用者数は14万人減から22万7000人減に改定された。雇用者数はコロナ前の昨年2月の水準を900万人も割り込んでいる。米議会予算局では雇用がコロナ前の水準に戻るのは2024年以降と予想する。

アリアンツ・インベストメント・マネジメントのシニア投資ストラテジスト、チャーリー・リプリー氏は「雇用統計で示された脆弱性によって、バイデン政権は新型コロナ禍の痛手を受けている家計や企業向け支援をさらに拡大することが可能になる」と述べた。

バイデン大統領は雇用統計発表後、追加の新型コロナ対策法案を巡り、議会の積極的な行動が求められていることが示されたと強調した。

業種別では、米経済を支える製造業と建設が減少したほか、飲食関連や小売などの減少も目立った。

製造業は1万人減、建設は3000人減。小売は3万8000人減、娯楽・宿泊も6万1000人減。ヘルスケアは3万人減、輸送・倉庫も2万8000人減少した。

一方、専門職・企業サービスは9万7000人増加したほか、政府部門も4万3000人増加した。

統計では、高額労働者と低額労働者の間で格差拡大の動きも見られた。時間当たり賃金は全体で前月比0.2%上昇。前年同月比では5.4%伸びた。低賃金労働の減少が影響したとみられる。

FHNフィナンシャルのチーフエコノミスト、クリス・ロー氏は「最大雇用への回復にはまだ多くの取り組みが必要だ」と指摘。ただ、国内のコロナ感染者がおおむね減少傾向にある中、ワクチンの普及も手伝って「雇用者数は第2・四半期以降かなり増える」(INGのジェームズ・ナイトレー氏)と期待する向きもある。