[ワシントン/北京 10日 ロイター] – バイデン米大統領と中国の習近平国家主席は、初の電話会談を行った。バイデン大統領が自由で開かれたインド太平洋の維持が優先課題と強調する一方、習主席は、対立は両国にとって「悲惨な結果」を招くと警告した。 

電話会談は、中国時間の11日朝、米国時間では10日夜に行われた。

米中首脳の電話会談は昨年3月以来。それ以降、米中関係は過去数十年で最悪とされてきた。

ホワイトハウスの声明によると、バイデン大統領は「中国の高圧的で不公正な経済的慣行、香港での取り締まり、新疆ウイグル自治区での人権侵害問題、台湾などへの圧力強化が根源的な懸念事項と強調した」

両首脳は、「新型コロナウイルスのパンデミック対策、世界的な衛生問題、気候変動、兵器の拡散防止という共通の課題について意見を交換」。バイデン大統領は習主席に「自由で開かれたインド太平洋」を守ることを希望すると述べた。

中国外務省の発表文によると、習主席は米中が対立すれば悲惨な結果を招くとし、双方が誤った判断を回避するための手段を再確立する必要があるとの考えを伝えた。

習主席は、協調が唯一の選択肢だと改めて表明し、両国が建設的な方法で問題に適切に対処する必要があるとした。また、両政府は互いの意図を理解し誤解を回避するため、さまざまな対話の枠組みを再確立すべきとの立場を示した。

習主席は、香港や新疆ウイグル自治区、台湾を巡っては、強硬な姿勢を維持。バイデン大統領に対して、「主権や領土保全」の問題であり、米国が慎重に対応することを望むなどとけん制した。

中国外務省によると、主席はバイデン大統領に「米国は『可能性』という言葉で定義できるというが、われわれは、その可能性が中米関係の改善に向いていることを望んでいる」との考えを伝えたという。

台湾当局は、バイデン氏が中国主席との会談で台湾について懸念を表明したことに謝意を示した。