[ワシントン 12日 ロイター] – 米労働省が12日に発表した2月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.5%上昇し、市場予想と一致した。また前年同月比では2.8%上昇し、2018年10月以来、2年4カ月ぶりの大幅な伸びとなった。ただ労働市場のスラック(需給の緩み)が大きいことを踏まえると、企業がコスト上昇を消費者に転嫁することは難しい可能性がある。

1月のPPIは前月比1.3%上昇し、09年12月以来の大幅な伸びだった。前年同月比では1.7%上昇だった。

新型コロナウイルス感染が減り、ワクチン接種が加速するにつれ経済再開が進み、物価は向こう数カ月間で勢いを増し、4月までに米連邦準備理事会(FRB)の柔軟な平均インフレ目標である2%を超える見込みだ。

2月はエネルギーが前月比6.0%上昇し、全体の上昇要因の3分の2以上を占めた。1月は5.1%上昇していた。

サービスは0.1%上昇。1月は1.3%上昇と、09年12月以来の大幅な伸びだった。モノは2カ月連続で1.4%上昇した。

変動の大きい食品・エネルギー・貿易サービスを除いたコア指数は前月比0.2%上昇。1月は1.2%上昇していた。2月は前年同月比で2.2%上昇。1月は2.0%上昇していた。

ドルが米国の主要な貿易相手国の通貨に対して下落する中で、食品は1.3%上昇した。モノのコア指数は0.3%上昇だった。1月は0.8%上昇していた。

貿易・輸送・倉庫を除く最終需要サービスは横ばいだった。1月は1.4%上昇していた。医療費は0.1%下落。1月は1.2%上昇していた。ポートフォリオ管理費は1.1%下落。1月は9.4%急上昇していた。医療費とポートフォリオ管理費はFRBが物価の目安とするコア個人消費支出(PCE)価格指数に組み入れられる。

ハイ・フリークエンシー・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、ルビーラ・ファルーキ氏は「ベース効果や経済の本格的な再開が今年の物価を押し上げるものの、労働市場の回復が不完全であることを考えると、価格圧力が加速し続けるとは考えにくい」と指摘した。

また、ムーディーズ・アナリティックスのシニアエコノミスト、ライアン・スウィート氏は「エネルギー高とともにサプライチェーンの問題が一時的な生産者物価の上昇圧力になっているが、こうした圧力は今後緩和する見通し。消費者物価は今年前半に伸びが加速すると予想されるが、一過性のものとなる」と予想した。