【ソウル時事】韓国政府が日本政府の原発処理水の海洋放出方針と関連して昨年10月に対内向けに作成した報告書で、「(放射性物質トリチウムが)海洋放出され、数年後に国内海域に到達しても、移動中に拡散、希釈され、有意味な影響はないと予想される」と指摘されていたことが15日、分かった。野党「国民の力」の安炳吉議員側が入手した資料で明らかになった。

国際海洋法裁への提訴検討 原発処理水で「大きな懸念」―韓国大統領

 政府は関係部署による合同部会を構成し、専門家らを交え対応を検討した。昨年10月に作成された報告書は専門家の意見として、放射性物質を除去する日本の設備について性能に問題はないと指摘し、除去できないトリチウムに関しても「水産物摂取などによる有意味な被ばくの可能性は極めて低い」と報告。日本の近隣地域の放射線影響評価に対しても「妥当だ」との見方を示した。

 首相傘下の国務調整室は報告書について「専門家の意見は政府の立場とは異なる」と弁明。海洋放出決定に反対の立場を改めて強調し、「国際海洋法裁判所への提訴など多様な対応措置を検討している」と重ねて訴えた。