【北京時事】中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は29日、海上交通の安全管理を担当する海事局の権限を強化する改正海上交通安全法を可決した。中国が領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島周辺で「第2海軍」と呼ばれる海警局に加え、行政機関の海事局も活動することを視野に入れているとみられる。施行は9月1日。国営新華社通信が伝えた。

 海上交通安全法は、海上の航行や事故の対応などを規定している。新華社によると、全人代高官は今回の改正について「交通強国の建設や国家イメージ向上で重大な意義がある」と強調した。

 改正法全文は明らかではないが、草案では中国側が「脅威」と判断した外国船に領海からの退去を命じる権利があると明記。現行法は、退去命令の対象を「港の安全に脅威となる」と判断された船舶に限定しており、改正により中国が領有権を主張する尖閣の周辺海域や南シナ海も適用対象となる。

 また「海上交通の安全に危害を及ぼす可能性のある船舶」が領海を航行する場合に報告を求め、違反すると5万~50万元(約84万~約840万円)の罰金を科すとしている。

 尖閣周辺では、中央軍事委員会の指揮下にある海警局の船舶が日本領海への侵入を繰り返している。今回の改正を根拠に、交通運輸省に属する海事局の活動範囲も尖閣周辺に広がる可能性がある。