米シンクタンク外交問題評議会のチャールズ・カプチャン上級研究員は時事通信のインタビューで、国際協調路線に回帰したバイデン政権100日の外交政策を評価した。一方で、中国とのイデオロギー的対立を助長しかねない強硬姿勢に懸念を示した。一問一答は次の通り。

コロナ対策では成果 感染拡大鈍化、ワクチン加速―米政権100日

 ―就任100日をどうみるか。

 トランプ前政権から二つの重大な修正を行った。一つは米国をチームプレーヤーに戻したこと。地球温暖化の国際枠組み「パリ協定」に復帰し、アジアと欧州の同盟国に働き掛けた。もう一つは、米国の民主主義への信頼回復だ。自由民主主義のモデルとしての役割に戻った。

 ―バイデン外交の特徴は。

 バイデン氏は、米国の対外関与はもはや国内で強い支持を得られないことを理解している。トランプ氏は「米国第一」でその状況に対処したが、(孤立主義を想起させ)多くの人を動揺させた。バイデン氏も「中間層のための外交」を訴え、米国民を第一に置く必要があると主張する。自由貿易の追求を棚上げし、中国への対抗を続けるが、(トランプ氏と異なり)同盟国と協調して行動することを望んでいる。

 ―課題は。

 バイデン氏は、21世紀は民主主義と専制主義の対立になると述べ、非自由主義勢力に対抗しようと民主主義サミットの開催を目指すが、行き過ぎだ。民主主義国と非民主主義国をきちんと線引きすることはできない。気候変動などの問題では、イデオロギーの違いを超えた連携が必要になる。

 ―新型コロナウイルスの外交への影響は。

 新型コロナは、ワクチンや医療機器供給の面で米中の競争を激化させ、米国内の対中強硬派の地位を固めた。(コロナ禍で)米国は世界大恐慌以来の経済的被害に苦しんでおり、バイデン氏は(外交よりも)まず内政に目を向けざるを得なくなった。