【北京時事】中国の習近平国家主席が、外国から「愛される中国のイメージづくり」を指示した。高圧的な対外発信で中国の好感度が下がっていることへの反省があるとみられる。しかし、習氏が進めてきた「強国」路線を転換するわけではなく、国際社会の見方を変えるのは容易ではなさそうだ。

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 国営新華社通信によると、習氏は先月末の共産党の会議で、対外情報発信の強化を図るよう訴えた。習氏は「自信を示すだけでなく謙虚で、信頼され、愛され、尊敬される中国のイメージづくりに努力しなければいけない」と語った。習氏は党が組織的に取り組み、予算を増やし、「知中的、親中的な国際世論の拡大」を実現するように求めた。

 近年の中国外交は批判に対して攻撃的に反論し、「戦狼外交」という呼称が定着した。戦狼外交は国内で支持を得ているが国際的には反中感情を高めた。習氏はこの状況の打開を狙っているもようだ。

 ただ、習氏は「わが国の発展観、安全観、人権観をはっきり述べる」ことも指示している。「豊かな生活の実現が最大の人権改善」という中国の「人権観」は思想や信教の自由を無視しており、香港の言論統制やイスラム教徒のウイグル族ら少数民族の弾圧をめぐり対立する米国や欧州と相いれない。このため「中国の外交方針が大きく変わるわけではない」(北京の知識人)という指摘がある。