[サンサルバドル 9日 ロイター] – 中米エルサルバドルの議会は、暗号資産(仮想通貨)のビットコインを法定通貨として採用するブケレ大統領の提案を賛成多数で承認した。ビットコインの法定通貨採用は世界初。

ブケレ大統領は、海外在住の国民が自国に送金する際にビットコインが役立つと強調する一方、米ドルも法定通貨として存続させると指摘。ビットコインの使用は任意であり、利用者にリスクをもたらすことはないとした。政府はエルサルバドル開発銀行に設けた信託を通じて取引時のドルの兌換性を保証する。

法定通貨としての使用は90日後に法制化され、ビットコインとドルの為替レートは市場で決定される。法制化されれば、企業の商品およびサービスへの支払いや納税にビットコインを利用することが可能となる。

ブケレ大統領はその後、国営地熱発電会社ラゲオに対し、火山を利用した再生可能エネルギーを使うビットコインのマイニング施設を計画するよう要請したとツイッターに投稿した。

ビットコインは5%高の3万5197ドルと2週間ぶりの高値に浮上。仮想通貨ファンドのデジタル・アセット・キャピタル・マネジメントのリチャード・ガルビン氏は「市場はエルサルバドルでの法定通貨への採用と他国の追随の有無に注目するだろう」と指摘。「向こう2─3年間のビットコインにとって重要な材料になる」と述べた。

グレーライン・グループのパートナー、ブランドン・トーマス氏は「これがトレンドの最初の一歩となり、雪だるま式に広がっていくのか、それとも一過性のものに終わるかは歴史のみが物語る」とした。

また、エルサルバドルは国際通貨基金(IMF)から10億ドル以上の融資獲得を目指しており、今回の動きがIMFとの交渉の先行きを危うくするとの懸念が投資家に広がっている。

エルサルバドルの経済は海外労働者からの送金に大きく依存しており、世界銀行のデータによると、同国への送金額は2019年に約60億ドルと国内総生産(GDP)のおよそ5分の1を占めている。