【コーンウォール(英南西部)時事】英国南西部コーンウォールで開催中の先進7カ国首脳会議(G7サミット)は12日午前(日本時間同日午後)、外交などを議題に2日目の討議を行った。中国の経済圏構想「一帯一路」に対抗する巨額のインフラ投資計画で合意。覇権主義的な動きを強める中国に日米欧が結束して対応する。

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 米政府によると、新たな投資計画は今後数年間で数千億ドル(数十兆円)規模で、(1)気候変動(2)健康・医療保障(3)デジタル技術(4)ジェンダー平等―の4分野に重点投資する。

 中国はアフリカなどの途上国に多額のインフラ整備などの対外援助を展開しているが、環境破壊や過剰融資などの問題が相次いでいる。G7は途上国に対する質の高いインフラ構築を支援する方針だ。

 サミットの最大のテーマは、軍事・経済両面で台頭し、欧州でも脅威論が高まる中国とどう向き合うかだ。バイデン米大統領は「新時代の脅威を抑止する民主主義の力を示す」と訴える。G7を中心とした「民主主義国家」が、「専制主義国家」と位置付ける中国やロシアと対決していく考えを示している。新たな投資計画もこの一環だ。

 中国は沖縄県・尖閣諸島や台湾海峡で軍事的脅威を強めている。菅義偉首相は、東・南シナ海での一方的な現状変更の試み、香港や新疆ウイグル自治区で問題視される人権状況などについて、「G7の価値観と相いれない」として「深い懸念」を表明。「G7として連携して行動すべきだ」と呼び掛けた。

 サミット最終日の13日に採択する首脳宣言に「台湾海峡の平和と安定の重要性」が明記されるかが焦点で、台湾をめぐっても議論を交わしたとみられる。

 北朝鮮に関し、首相は核・ミサイルの「完全、検証可能かつ不可逆的な廃棄という目標を堅持する」と強調。拉致問題は「菅政権の最重要課題」として早期解決への協力を要請し、各国の賛同を得た。ミャンマー情勢にも触れ、「(国軍による)クーデターは受け入れられない」と非難した。