韓国の最高裁判所は2018年、今の日本製鉄に対して「徴用工として日本で強制的に働かされた」と訴えていた4人の韓国人に賠償を命じる判決を言い渡し、このあと地方の裁判所は日本製鉄が韓国で保有する株式の差し押さえを認める決定を出しました。

これに対して日本製鉄は去年、手続きの差し止めを求める「即時抗告」を行いましたが、11日、裁判所がこれを退けたことが明らかになりました。

日本製鉄が韓国に保有する資産をめぐっては、ことし1月に裁判所に鑑定書が提出され、売却に向けた手続きが進んでいます。

「徴用」をめぐっては、三菱重工業も韓国の最高裁判所から賠償を命じられ、資産の差し押さえを認める決定も受けていて、これを不服として三菱重工業が行った即時抗告は、先月、一部が退けられました。

日本政府は「徴用」をめぐる問題は1965年の日韓請求権協定に基づき解決済みだとしていて、日本企業に賠償を命じた判決は国際法違反だとして、韓国政府に違反状態の是正を求めています。韓国の裁判所が、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題で日本製鉄が行った「即時抗告」を退けたことについて、日本製鉄は「国家間の正式な合意である日韓請求権・経済協力協定により、完全かつ最終的に解決されたものと理解している。日韓両国政府による外交交渉の状況なども踏まえ、適切に対応していく」とコメントしています。