[オスロ 20日 ロイター] – 世界最大の政府系ファンド(SWF)であるノルウェー政府年金基金は「パリ協定」に沿って温室効果ガスの排出量を2050年までにゼロにするよう投資先企業に働き掛けるべきだと、政府の委員会が20日指摘した。

気候リスクを基金の責務の一つに加えるべきであり、石油・ガスセクターも含め引き続き幅広い産業に投資し、投資先の企業に脱炭素化を迫る必要があるとしている。

委員会のトップは声明で「基金の脱炭素化を進める最良の方法は、投資先の企業の脱炭素化を進めることだ」と表明した。

同基金は世界の9100社以上に出資し、平均で全上場株式の1.4%を保有する。また国債や一部の固定資産にも投資している。

基金によると、投資先のカーボンフットプリントを2019年時点で推定1億0760万二酸化炭素(CO2)換算トン。これはノルウエーの今年の排出量の約2倍に当たる。

委員会は報告書で、保有資産の幅広い多様化戦略を維持すべきと指摘したが、基金の戦略に適応できない企業を投資先から外すことも可能だと表明。

「深刻な環境汚染への関与や許容水準を超える温室効果ガスの排出など、投資先の企業に容認できないリスクがあれば、投資対象からの除外や監視リストに載せる必要がある」としている。

財務省は2022年上半期に公表する白書で、今回の提案に関する見解を示す。

委員会は、石油やガスなどの産業全体を除外してもリスクとリターンのトレードオフを改善することはできないとの見解を示した。