ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月7日放送)のゲストに河野行政改革担当大臣が出演、日本の未来についての提言をテーマとしたインタビューに回答した。

 【写真】東京パラリンピック閉会式 ひとり着席する菅首相 

なお、このインタビューは菅総理が総裁選出馬断念を表明する前に行われたもの(9月2日収録)で、ここでは新型コロナウイルスのワクチン対策についての話が中心となっている。

菅総理の掲げた「1日100万回」「7月末までに高齢者全員2回接種」はクリア

飯田)9月1日の発表時点で、ワクチン接種回数が1億3000万回を突破し、1回目の接種も57%を超えました。このスピードや規模感については、どうご覧になられていますか?

河野太郎行政改革担当大臣)おかげさまで相当早いスピードで、ワクチン接種が進んでいると思います。スタートしたときには、「年内に終わらないだろう」というご意見が多かったのですが、菅総理が「1日100万回接種」、「7月末までに希望する高齢者全員への2回接種」という目標を掲げ、それに向かって一生懸命頑張りました。おかげさまで10月~11月の早い時期にかけて、希望する国民に2回接種という目標もクリアできるような状況になっているのではないかなと思います。

飯田)最初に1日100万回という数字を聞いたときは、大臣ご自身も相当驚かれたということが報道されていましたが、ここまで来ると思っていましたか? 河野)総理が「1日100万回でどうだ」とおっしゃったときに、私は「70~80万回にしましょう」と正直に申し上げたのですが、総理が最後は自分の決断だということで、「100万回」ということを公におっしゃいました。結果から言うと、いちばん多く打った日は170万回くらい打ったのではないかなと思います。ワクチンの在庫が足りなくなるのではないかと心配して、「少しペースを調整してください」とお願いするくらいのスピードで行きました。

飯田)ペースを落とすお願いをせざるを得なかったときに、「ワクチンが足りないのではないか」というような批判が出たりもしましたけれども、いまはどうですか? ペースとしては落ち着いて来ていると思ってもいいでしょうか?

河野)だいぶ落ち着いて来ていると思いますし、9月の終わりまでに希望する方が2回打つのに十分な量は日本に入って来ます。10月10日までには、すべての市町村で、12歳以上人口の8割の方が2回打つのに必要な量をお配りします。ワクチンの供給量については、まったく問題ありません。「まだ予約が取れない」という声も聞きますけれども、「必ず打てますから、気長に待ってください」ということはお願いしております。

飯田)平時は無謬性などがいい方向に働くときもあるかも知れませんが、コロナ禍のような有事対応というのは、まったく別の動かし方をしなくてはいけないということになりますか?

河野)そうですね。デルタ株の感染が拡がり始めていましたので、総理が「7月末に高齢者に2回接種」とおっしゃったのも、なるべく早く打ち終わらないといけないということで、極端な言い方をすると「手段を選ぶな」ということでありました。

飯田)手段を選ばないと。

河野)有事ですから、平時のときとは違うモードでやらなくてはいけないというのが、今回の教訓だったと思うのですね。

飯田)平時とは違うモードで。

河野)日本でワクチン接種のスタートが遅れたというのも、去年(2020年)の7月にファイザーが「国際的な治験をやるぞ」と言ったときに、欧米と比べて、当時は感染者数が2桁ほど少ないから、日本で治験をやっても時間がかかるだけで意味がない、ということで外されたのです。

飯田)そうなのですか。

河野)そのときにファイザーは、アメリカに住んでいる日本人を集めて国際治験のなかに入れてくれていたのです。日本からアメリカに行っている駐在員の方や、留学生の方など日本人を百何十人集めて国際治験のなかでやって、「日本人も取ったデータがあるよ」ということだったのです。しかし厚労省が、「アメリカと日本では食べ物なども違うから、それはダメだ」と言って、再度、10月に日本で160人の治験をやったのです。それでスタートが遅れてしまった。平時ならそういうことがあってもいいのかなとは思いますが、有事のときにはリスクとベネフィットを評価して、どう判断するのかを考えなくてはいけないと思いますし、国民の皆さまにも、そういうことをご理解いただくということが大事なのかなと思います。

飯田)ワクチン接種、その進み具合や治験のあり方を中心に、河野大臣にお話を伺いました。

青山繁晴参議院議員)言わざるを得ないことがあります。「国産ワクチンの開発がなぜできなかったのか」ということです。

飯田)国産ワクチンが。

青山)自由民主党の対策本部でも、当初からそれを指摘していたのですが、厚労省は全然答えないのです。ところが、対策本部が終わったあとに、鴨下さんや首脳陣が寄って来られて、「本当はあなたの言っていた通りなのです」と。薬事規制がおかしかったり、目先のことを考えて、つまりパンデミックや感染症はいつ起きるかわからないから、もうそういうことはやめておけという話だったのです

飯田)いつ起こるかわからないから。

青山)あえて特定のメーカーを出すけれども、モデルナはずっと薬をつくれない時期が続いていたわけです。しかし民間の投資も活発になり、続けることができて、ついに実ったわけです。そういう仕組みが日本にはない。つまり「民間の力を活かせない」というところに大きな問題があります。本当は河野さんの突破力で、そこを切り開いて欲しいのです。ワクチン接種の遅れというのは、おっしゃっているようなファイザーの治験というのも、もちろんあるのですけれども、そこに話を逃がしてはいけないですよね。