米アップルは電気自動車(EV)の開発を加速しており、完全自律運転機能をあらためて開発プロジェクトの中心に据えていると、事情を知る複数の関係者が明らかにした。

  同社の自動車開発チームは過去数年、2つのアプローチを同時に模索していた。ハンドル操作と加速に照準を定めた限定的な自動運転機能を持つモデルの開発と、人間の介在を一切必要としない完全自律運転モデルの開発だ。

Apple’s vice president of technology Kevin Lynch speaks during the keynote address during Apple’s Worldwide Developer Conference (WWDC) in San Jose, California on June 3, 2019. (Photo by Brittany Hosea-Small / AFP) (Photo credit should read BRITTANY HOSEA-SMALL/AFP via Getty Images)

  非公開情報であることを理由に匿名で話した関係者によれば、「アップルウオッチ」のソフトウエア担当幹部で、自動運転車プロジェクトの統括役に新たに起用されたケビン・リンチ氏の下、エンジニアらは現在、後者のアプローチに重点を置いている。

  ブルームバーグ・ニュースの報道を受け、アップルの株価は18日の取引で一時3.4%上昇。9月7日以来の取引時間中の最高値更新となった。終値は2.9%高でこれに基づく時価総額は約2兆5900億ドル(約296兆円)と、マイクロソフトを抜いて世界首位の座を奪還した。

  アップルは自動運転車を4年後に発売することを社内目標としている。一部エンジニアが今年の早い段階で計画していた5-7年後という時間軸から前倒しされた。ただ時期については流動的で、2025年という目標の達成は自動運転システムを完成させられるかどうかにかかっている。それまでに自動運転を完成させるのは野心的な取り組みとなる。

  目標通りといかない場合、発売時期を先送りするか、機能を限定したモデルを最初に売り出す可能性がある。

  アップルの広報担当者はコメントを控えた。

  アップルが理想とする自動車は、ハンドルやペダルがなく、運転に手を出す必要がない車内設計だ。社内で協議されている選択肢の一つは、電気自動車(EV)業界の新興企業カヌーの「ライフスタイル・ビークル」の社内デザインに似ている。このEVはリムジンのように乗客が向かい合って座る。

カヌー「ライフスタイル・ビークル」の車内Source: Bloomberg

  アップルはさらに、インフォテインメントのシステムを車の中心に据えるデザインも検討してきた。大型「iPad(アイバッド)」のようなタッチスクリーンになるもようだ。またアップルの自動運転車は、同社の既存のサービスとデバイスとかなり一体化されたものになる。

  事情に詳しい複数の関係者によれば、同社は最近、根幹となる自動運転システムの開発で重要な節目に到達した。また、第一世代の自動運転車向けにいずれ出荷を見込むプロセッサーの開発で中核作業の多くを完了したと考えているという。

  このプロセッサーは、自動車開発チーム内ではなく、「iPhone(アイフォーン)」やアイパッド、マックなどのプロセッサーを開発したアップルのシリコンバレーのエンジニアリンググループが設計した。

原題:Apple Steps Up Work on Car, Aims for Fully Autonomous Model (1)

Apple Shares Post First All-Time High Since September

Apple Surpasses Microsoft, Is Once Again World’s Biggest Company(抜粋)