ラーム・エマニュエル前シカゴ市長=2010年10月、ワシントン(AFP時事)
ラーム・エマニュエル前シカゴ市長=2010年10月、ワシントン(AFP時事)

 駐日米大使に決まったラーム・エマニュエル前シカゴ市長は、オバマ元大統領の首席補佐官を務めた「大物」だ。豪腕で知られ、台頭する中国と向き合う日米間の橋渡し役として重責を担う。

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 資金集めや選挙戦略の才能で頭角を現し、クリントン政権の大統領上級顧問を担当。下院議員を経て就任した首席補佐官時代は、議会に足しげく通って調整に尽力し、医療保険制度改革などオバマ政権の看板政策実現に寄与した。

 米政府関係者は「バイデン大統領や周辺と直接話ができる」と口をそろえる。バイデン政権の高官には、オバマ政権からの再登板組が多いためだ。日本政府筋は「ホワイトハウスとの太いパイプは頼もしい」と期待を示す。

 攻撃的な政治スタイルから、名前のラームをもじって「ラーミネーター」や「ランボー」の異名も。「腐った魚を政敵に送り付けた」「議論になると相手を指さし口汚くののしる」など気性の激しさを表すエピソードには事欠かない。身内にも敵が多く、バイデン政権の運輸長官に就く案が与党民主党内の反対で立ち消えになったとも伝えられた。

 外交経験は少なく、日本との関係も深くないが、米政府やシンクタンクの知日派に接触し「アジア情勢を熱心に学んでいる」(日米筋)という。上院公聴会では「中国は分断による地域支配を狙っている」と厳しい対中姿勢を示し、日米同盟の強化で対抗する考えを示した。