[ローマ 27日 ロイター] – イタリアの保健問題専門家は27日、新型コロナウイルスのオミクロン変異株の感染の急拡大を踏まえると、現在導入されている抑制策の下で隔離対象者が増えすぎ、国全体が麻痺すると警告し、政府に対し抑制策を緩和するよう呼び掛けた。

現在の抑制策の下では、感染者の濃厚接触者はワクチン接種済みなら7日間、未接種なら10日間、自主隔離する必要がある。

ギンベ保健財団を率いるニノ・ガルタベロッタ氏は、コロナ検査で陽性反応を示した人の濃厚接触者は一人当たり平均5─10人であり、2週間以内に全国で約100万人に感染の恐れがあることを踏まえると「いずれ500万─1000万人が自主隔離を迫られることを意味している。これは不可能だ」と述べた。

ウイルス学者のファブリツィオ・プレグリアスコ氏も「オミクロン株の急拡大を踏まえると、対応策を変える必要があるのは明らかだ。このままでは全般的なロックダウン(都市封鎖)に向かうことになる」と述べた。

こうした中、政府のコロナ対策責任者、フランチェスコ・パオロ・フィグリウオロ氏は記者団に対し、保健当局が自主隔離を巡る規則の変更を検討していると明らかにしたほか、一部政治家も、ワクチン接種済みで症状がない場合は隔離義務を免除するべきとの考えを表明。レンツィ元首相も「抑制策を導入するならワクチン未接種者を対象とすべきだ」と述べている。

政府は23日、感染再拡大を受け抑制策の強化を発表。公共の場で実施される全ての大晦日のイベントを禁止したほか、コンサートや屋外イベントの開催を来年1月31日まで禁止し、ディスコやダンスクラブなども同日まで営業停止とした。

イタリアの1日の新規感染者数は25日に5万4762人と、過去最悪を記録。ワクチン接種率は人口の約80%。29%がブースター接種(追加接種)を済ませている。