【モスクワ、ワシントン時事】ロシア軍は26日、ウクライナの首都キエフ制圧に向けて3日目の軍事作戦を展開し、ウクライナ軍と戦闘を繰り広げた。ウクライナ側は首都防衛のために激しく抵抗し、侵攻を阻んでいるもようだ。中心部近くでの交戦も発生しており、高層住宅にはミサイルが着弾。ウクライナ政府は26日、ウクライナ側の死者数が子供3人を含む198人に上ったと明らかにした。

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 キエフにはロシア軍の地上部隊が入っている。ロシアはキエフ郊外の飛行場を掌握し、首都西方から封鎖を進めている。ウクライナ軍は26日未明、キエフ中心部に近い大通り沿いの基地に対しロシア軍部隊が攻撃を仕掛けたが、撃退したと明らかにした。

 ウクライナ内務省は26日、キエフ市内の高層住宅が被弾したと公表。通りにがれきが散乱し、負傷者が救出される様子が伝えられた。人口約290万人の首都で戦闘が激化すれば、死者数が大幅に増えるのは確実だ。

 ロシア国防省は26日、クリミア半島に近いウクライナ南部メリトポリを制圧したと発表。また、ウクライナの軍事施設に対し夜間、長距離巡航ミサイルによる攻撃を加えたことを明らかにした。米国防総省高官によれば、ロシア軍はこれまでにミサイル250発以上を発射し、民間施設や居住区が被害に遭っているという。

 ただこの高官はロシア軍の作戦について「いまだに都市部を制圧しておらず、制空権も確保していない」との見方を表明。ロシア軍はウクライナ側の抗戦に遭い、キエフ北方約30キロ地点にとどまっていると分析した。ロシアの狙いは首都の奪取とウクライナのゼレンスキー大統領の拘束や殺害にあるとみられるが、ウクライナ軍の戦線は崩壊には至っていないもようだ。

 米政府がゼレンスキー氏の退避支援を準備しているとの報道も出る中、ゼレンスキー氏は26日も「私はここにいる。われわれが武器を置くことはない」と強調した。キエフでは市民に銃が配られているほか、国防省は火炎瓶での徹底抗戦を呼び掛けている。

 ロシアのプーチン大統領は25日の安全保障会議で、「権力を奪取せよ」とウクライナ軍にクーデターをけしかけた。ロシア・ウクライナ間で停戦協議を模索する動きもあったが、ロシアのペスコフ大統領報道官は26日午後、ウクライナが協議を拒否したことから軍事作戦を継続すると述べた。