【フランクフルト時事】ロシアによるウクライナ侵攻で、欧州の金融機関が巨額の損失を被るリスクが高まっている。地理的に近く、企業活動でもつながりが深いロシアは各社にとって有望な市場だったが、西側諸国による経済制裁の影響で国債などのデフォルト(債務不履行)懸念が台頭。投融資が焦げ付く事態への備えを迫られている。

 主要銀行では、フランスのソシエテ・ジェネラルが2021年末時点の投融資総額の1.7%に当たる186億ユーロ(約2兆3800億円)がロシア向けだと発表。イタリアのウニクレディトはロシア子会社の自己資金による融資が78億ユーロに上り、最悪の場合は財務の健全度を示す中核的自己資本が2%程度押し下げられると見込む。

 ドイツの金融最大手ドイツ銀行はロシアとウクライナ向けの貸し付けが14億ユーロと、全体の0.3%にとどまる。「ロシア向けは(クリミア侵攻があった)14年から大幅に削減しており、最近も減らした」と説明した。一方、オーストリアのライファイゼン・バンク・インターナショナルのロシア向け投融資の規模は233億ユーロ(全体の10.1%)と大きい。

 ウクライナ危機を受け、欧州中央銀行(ECB)は「ユーロ圏の物価と金融の安定のため、必要なあらゆる行動を取る用意がある」と表明。ラガルド総裁も10日の定例理事会後の記者会見で「ロシア経済の規模は世界の2%にすぎない」と述べ、信用不安の拡大阻止に努めた。