東京証券取引所の市場再編が4日、スタートする。これまでの4市場が3市場に集約されるとともに、各市場に対応した新たな株価指数の算出も始まる。市場区分の中核である東証1部が変更されるのは約60年ぶり。市場では今回の改革に一定の評価はあるものの、改革の継続性に期待する声が根強い。

Photographer: Toru Hanai/Bloomberg

  東証1部、2部、マザーズ、ジャスダックがきょうからプライム、スタンダード、グロースに衣替えされた。「世界経済をリードする企業のための市場」と位置付けた目玉のプライムは、トヨタ自動車など旧東証1部の8割超の1839社が移る。

  スタンダードは旧東証2部と旧ジャスダック・スタンダードから7割強の1466社が移動し、旧東証1部からも日本オラクル新生銀行大正製薬ホールディングスなどが所属。グロースはハーモニック・ドライブ・システムズなど旧マザーズと旧ジャスダック・グロースの466社で構成される。

  インベスコ・アセット・マネジメントの小澤大二最高投資責任者(CIO)は、「日本の市場は様々な企業が『ごった煮』だった」と語る。グローバル投資家にとって市場区分は店舗のショーケースの役割に等しいとし、「ショーケースを綺麗にするという方向性は良かった」と評価した。

  市場再編に伴い、各市場全体の値動きを示す株価指数も新たに始まる。東証プライム市場指数や東証スタンダード市場指数、東証グロース市場指数をはじめ、東証プライム市場コンポジット指数などがある。東証2部指数やジャスダック・インデックスは終了となる。  

           新設される主な指数

指数名構成銘柄ティッカー
東証プライム市場指数1839TSEP index
東証スタンダード市場指数1466TSES index
東証グロース市場指数466TSEG index
東証スタンダードTOP20指数20TSEST20 index
東証グロース市場Core指数20TSEGCORE index

  新指数が算出される一方、TOPIXや東証マザーズ指数などは継続することから、現時点で市場参加者の新指数への注目度はまだ高くない。大和証券の細井秀司シニアストラテジストは「プライム市場指数がTOPIXに対してどれだけパフォーマンスで優位性を示すのか、運用資金がついてくるのかに市場は関心がある」と言う。  

  再編は始動したとは言え、現在は市場区分の上場基準に達しない企業でも希望市場に当面とどまれる「経過措置」が適用されている。日本取引所グループは同措置に関する方針を年内に決める方針と報じられた。

  多数の企業が横すべりしたことで、プライム市場指数は構成銘柄数が膨れ上がった。インベスコの小澤氏は、海外投資家に日本株を魅力的に見せるため、本当の意味で日本を代表して成長性のある企業の動きを表す指数が必要だと指摘。「投資家に選ばれるような新しいインデックスがベンチマークになるべき」との見方を示した。

  今回の市場再編は、2013年の東京証券取引所・旧大阪証券取引所(現大阪取引所)の統合に伴う市場の重複が発端。その後、19年12月の金融審議会市場ワーキング・グループの市場構造専門グループ報告書で市場再編の具体的な方向性が示された。コアの市場区分である東証1部が見直されるのは、1961年の市場第2部開設時以来となる。