ウクライナ・セベロドネツクで、車両の近くに立つウクライナ側の外国人部隊のメンバーら=2日(ロイター=共同)
ウクライナ・セベロドネツクで、車両の近くに立つウクライナ側の外国人部隊のメンバーら=2日(ロイター=共同)

ロシアによるウクライナ侵攻で、東部ルガンスク州のガイダイ知事は5日、激戦が続く同州の中心都市セベロドネツクでウクライナ軍が市の約5割を露軍から奪還したと明らかにした。露軍はドネツ川を挟んだ対岸の都市リシチャンスクにも砲撃を続けた。ウクライナ軍参謀本部は同日、東部ドネツク州の中心都市スラビャンスク方面でも露軍が前進を図ったが、撃退したとした。

ウクライナのゼレンスキー大統領は5日、一部が露軍の占領下にある南部ザポロジエ州を訪問。その後、リシチャンスクも訪れ、地元住民との交流や兵士の督励を行った。侵攻後、同氏の地方訪問は5月末の東部ハリコフ州以来。

セベロドネツクとリシチャンスクはルガンスク州内でウクライナ側が保持する最終拠点。東部ドンバス地域(ルガンスク、ドネツク両州)の掌握を主目標とする露軍は、両市を陥落させてルガンスク州を完全に制圧した後、ドネツク州に戦力を集中させる戦略だとみられている。

セベロドネツクは露軍が一時、市内の大部分を制圧。露軍側は「近く完全制圧できる」としたが、増援を受けたウクライナ軍が反撃している。ガイダイ氏は「露軍が10日までに市を制圧するよう指示を受けているとの情報がある」とし、今後、さらに戦闘が激化するとの見通しを示した。

ウクライナ内務省によると、リシチャンスクも5日までに露軍の砲撃を受け、物資配給などを行っていた人道支援施設が全焼した。施設には民間人約40人が退避していたといい、死傷者を調べている。

スラビャンスク方面では露軍が北と南方向から市に迫ろうとしているが、市から約数十キロの地点でウクライナ軍が防衛線を維持しているという。