初閣議に臨む岸田文雄首相と閣僚ら=10日午後、首相官邸(大塚聡彦撮影)
初閣議に臨む岸田文雄首相と閣僚ら=10日午後、首相官邸(大塚聡彦撮影)

政府は、全ての新型コロナウイルス感染者の情報を特定する「全数把握」を見直し、医師が患者情報を届け出る「発生届」の対象者を高齢者や基礎疾患がある人など重症化リスクが高い患者に限定する方向で検討に入った。また、日本への入国や帰国時に求めているPCRなどの検査は条件付きで不要とする方向で調整している。複数の政府関係者が22日、明らかにした。

岸田文雄首相が24日にもオンライン記者会見で発表する。

医師は感染症法上の規定に基づき、全ての新規感染者の情報を政府の情報共有システム「HER-SYS(ハーシス)」に入力し、報告することが義務付けられている。全数把握の見直しは医療現場の負担軽減策の一環で、軽症の患者や若年層については個別の届け出は求めない。届け出の対象者を限定することで負担を軽減しつつ、必要な医療提供体制を確保する狙いがある。一方、基礎疾患のない若年者などについて、感染者数を把握する業務は今後も続ける。

新型コロナの流行「第7波」で感染者が急増したのを受け、日本医師会や全国知事会などは、適切な医療を受けるべき高齢の患者らが治療を受けられない事態が相次いでいるなどとして、全数把握の見直しを求めていた。

水際対策も緩和する。現在は出国前72時間以内に検査を受け、入国時に陰性証明書を提示することを全ての入国者に求めている。先進7カ国で最も厳しい水準で、経済界などから入国前の検査の緩和を求める声が上がっていた。