[23日 ロイター] – 米ツイッターがハッカーやスパム(迷惑)アカウント対策を巡り規制当局を欺いていたと、元セキュリティー責任者で著名ハッカーのピーター・ザトコ氏が内部告発した。CNNと米紙ワシントン・ポストが23日報じた。

報道によると、ハッカー名「マッジ」で知られるザトコ氏は84ページに及ぶ訴状で、ツイッターが堅固なセキュリティー対策を行っていると主張する半面、同社の有するサーバーの半分が時代遅れのぜい弱なソフトを使っていると同僚に警告していたと明らかにした。

また告発によると、ツイッターはスパム削減よりもユーザー数の増加を優先させており、幹部は1日当たりのユーザー数の増加に連動し、最大1000万ドルの賞与を個人的に獲得していたという。

ツイッターの株価は終値で7%超下落した。

ワシントン・ポストによると、訴状は先月、米証券取引委員会(SEC)や司法省、連邦取引委員会(FTC)、議会委員会などに送付された。

CNNのツイートによると、ツイッターのアグラワル最高経営責任者(CEO)は社員に対し「公開された編集済みの主張を精査しているが、現時点では矛盾や不正確さに満ち、重要な文脈なしに語られた誤った情報」と述べた。

ザトコ氏は1月、ツイッターのセキュリティー責任者就任から約2年後に退社。ツイッターの広報によると、「非効果的なリーダーシップと業績不振」を理由に解雇されたという。

ツイッターのスパムアカウントや「ボット」と呼ばれる実態に乏しいアカウントを巡っては、同社が情報を開示しないことを理由に、米実業家イーロン・マスク氏が440億ドルの買収契約を撤回するなど、物議を醸している。ツイッターがマスク氏を相手取り起こした訴訟の審理は10月17日から始まる予定で、マスク氏はスパムやボットアカウントに関する情報を集めている。

CNNによると、内部告発公開後、マスク氏の弁護団はザトコ氏を召喚したという。

マスク氏からのコメントは得られなかったが、ツイッターでミームやロボットの絵文字を投稿して反応した。

一方、サイバーセキュリティー企業のトップらは一様にザトコ氏への支持を表明。ザトコ氏の告発に対するツイッターの対応を嘆く声も多く聞かれた。産業用サイバーセキュリティ企業Dragosの創業者、ロバート・リー氏は「マッジがこの種の主張をしているのなら、調査に値する」と述べた。