Chris Strohm

  • 選挙前60日間、影響を及ぼす捜査や訴追控えるのが長年の方針
  • 選挙前に内容を封印した起訴状入手の可能性はある
Donald Trump Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

米連邦検察はトランプ前大統領が法を犯したと判断した場合、同氏を訴追するとしても発表は11月の中間選挙後まで待つ公算が大きいと、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

  トランプ氏を巡っては、フロリダ州の邸宅「マールアラーゴ」の捜索で前大統領の訴追という前例のない事態に発展する見通しが浮上し、司法省の動向が関心を集めている。トランプ氏が2020年の選挙結果を覆そうとした動きについても、同省の調査が入っている。

  選挙前の60日間は選挙に影響を及ぼす、あるいは候補者や政党を後押しする目的で捜査や訴追を行わないという、長年の方針が司法省にはある。今年の場合は9月10日が60日前に当たり、11月8日の選挙が終わるまでいかなる発表もないだろうと、関係者らは匿名で述べた。

  司法省は過去にこの方針を破った例が複数ある。2016年の大統領選挙で民主党候補だったヒラリー・クリントン氏が国務長官時代に私的なメールサーバーを使用していた問題で、投票日の数日前に当時のコミー連邦捜査局(FBI)長官が再調査を明らかにし、クリントン氏の勝運を遠ざけたと批判された。

  しかしトランプ氏を今回訴追するとなれば、影響は重大になりそうだ。11月の選挙で同氏本人が候補者とはなっていないものの、候補者に支持を与え、強力なキャンペーンを率いている。最近では大統領復職または再選挙が認められるべきだと公に要求している。中間選挙に先駆けて次回大統領選への出馬を表明する可能性もあり、そうなれば共和党候補の最有力者になるのは確実とされている。

  匿名を要請した2人の関係者によると、トランプ氏に対するいずれかの捜査が11月までに訴追の決定を下せる状態に達するかどうかは不明。司法省には11月までに期限を迎える緊急性の高い訴追案件はないという。

  ただ、非公開の捜査活動を止めるものは何もなく、内容を封印した形での起訴状入手もそれに含まれる可能性がある。

原題:DOJ Is Likely to Wait Past Midterms to Reveal Any Trump Charges(抜粋)