10日、ウクライナ北東部ハリコフ州バラクレヤの広場に掲げられたウクライナ国旗(AFP時事)
10日、ウクライナ北東部ハリコフ州バラクレヤの広場に掲げられたウクライナ国旗(AFP時事)

 【ベルリン時事】反転攻勢を続けるウクライナ軍が、今春から占領されていた北東部ハリコフ州の要衝イジュームに入ったもようだ。ウクライナ軍部隊が市の標識の前で青黄2色の国旗を掲げる動画が10日、インターネット上で広まったほか、親ロシア派幹部やロシア国営テレビ従軍記者も「撤退」を認めた。ウクライナにとって大きな戦果となる一方、ロシアの打撃は小さくない。

ウクライナ大統領「30以上の集落解放」 ロシア軍の補給線遮断狙う

 イジュームは州都ハリコフと東部ドネツク州を結ぶ幹線道路が通る交通の重要拠点。イジュームに近いハリコフ州バラクレヤがほぼ「解放」されたとウクライナ軍幹部が宣言する動画も10日に公表された。

 これまでハリコフ州の苦戦に言及してこなかったロシア国防省は10日、ドネツク州を解放するため「バラクレヤとイジュームの部隊の配置転換を行った」と発表し、撤退を事実上認めた。ロシア側は3月末にキーウ州から撤退時に「作戦縮小」、黒海に浮かぶズメイヌイ島を手放す際も「善意の印」と説明し、敗北というニュアンスを避けている。

 一方、ウクライナ東部ルガンスク州のガイダイ知事は10日、米CNNテレビに対し、ウクライナ軍の次の目標は、7月に激しい戦闘の末ロシア軍の手に落ちた同州リシチャンスクと示唆。リシチャンスクから既に「占領者は逃亡している」と語った。

 ロイター通信によると、ウクライナ軍高官は、9月初め以降に奪回した領土が3000平方キロ超に達したと表明。ゼレンスキー大統領は10日、ロシア軍や親ロ派が占拠する東部ドネツク州リマンについて「まだわれわれの旗を待っているが、(奪還は)不可避だ」と述べた。