[サマルカンド(ウズベキスタン) 16日 ロイター] – ウズベキスタンのサマルカンドで開催されていた上海協力機構(SCO)首脳会議は16日、気候変動問題への取り組みに関する声明を採択した。声明は、二酸化炭素(CO2)の排出削減に向けた国際的な取り組みで「バランス」が必要と指摘。より環境に優しい経済への「公正な移行を支援し、排出削減と開発の均衡が取れたアプローチ」を求めた。

SCOは、中国、インド、ロシアといった主要な排出国などで構成し、世界人口の約半分を占める。声明は、気候変動の悪影響と早急な対応の必要性については加盟国が一致して認識しているとする一方で、石油・ガスの生産と探査への投資拡大を求めた。

また、各国に一律の排出削減を求める「強制的な手段」を非難し、「各国は気候変動防止の分野で独自の目標を設定する権利がある」と主張。

「一方的な強制的措置は多国間の原則に違反し、気候変動に対処するための多国間協力や集団的・国家的努力を著しく損ない、気候変動に対処する各国の能力を弱める」と述べた。

<化石燃料への投資>

ロシア、インド、中国はいずれも、気候変動への対処が十分でないと西側諸国から批判されることがある。これに対し、発展途上国には、気候問題よりも経済成長を優先させる余地があるはずだと反論している。

SCOは、化石燃料からよりクリーンな再生可能エネルギーへの全面的な移行要請に反発。「化石燃料とクリーンエネルギー源の共通かつ補完的な利点を利用するべきであり、この観点から、化石燃料の探査と生産への投資を増やすことが重要だ」とした。

さらにSCOは、西側諸国を非難する中で、「貿易・投資協力への制限措置を導入するために気候変動問題を利用」しようとする国々も批判した。

例えば欧州連合(EU)は、国境炭素税の導入に積極的に取り組んでおり、環境規制の緩い国からの輸入品に対し、生産時に排出される炭素の量に応じて課税することを検討している。導入されれば、ロシアや中国、インドなどからの輸出に打撃となる可能性がある。