[国連 21日 ロイター] – バイデン米大統領は21日、国連総会の一般討論演説で、ロシアのウクライナ侵攻は国連加盟の基本理念に反していると非難し、ロシアが核を使用するという「無謀」で「無責任な」脅しをかけているという認識を示した。

バイデン大統領は「国連安保障理の常任理事国が隣国を侵攻し、主権国家を地図から抹消しようとしている。ロシアは臆面もなく、国連憲章の中核的な教義に違反した」と非難。「この戦争はウクライナの国家としての生存権を消し去り、ウクライナ国民の生存権を奪うものだ」とし、国籍や信条などにかかわらず、「こうした行動に対し戦慄を覚えるだろう」と語った。

ロシアのプーチン大統領は21日、ウクライナでの戦争侵攻に絡み、軍の部分動員令に署名したと明らかにした。西側が「核の脅し」を続けるなら、ロシアは兵力の全てを用いて対応するとも警告した。

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バイデン大統領は「今日もまた、プーチン大統領は欧州をあからさまに核によって脅かした」とし、「核戦争に勝者はなく、決して戦ってはならない」とけん制した。

北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長も21日、プーチン大統領がウクライナ侵攻を巡り軍動員令に署名したことは戦争をエスカレートさせるという認識を示し、核兵器使用の脅しは「危険で無謀なレトリック」と批判した。

米ホワイトハウスはまた、世界の食料安全保障強化に向け29億ドルの追加支援を実施すると発表した。

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バイデン大統領は中国についても言及。「われわれは対立も冷戦も求めていない」と言明した上で、米中間の競争については「地政学的なトレンドの変化に対応しつつ、米国は合理的なリーダーとして行動する」と述べた。

さらに、ペロシ米下院議長の台湾訪問を受け、中国が米国との気候変動に関する協議を停止したことを批判。「米国は、気候変動のような地球規模の問題を解決するために、競争相手を含む全ての国と協力する。協議から立ち去ることは世界全体を傷つける」と述べた。