[北京/香港 29日 ロイター] – 米国をはじめとする先進国では、各国民の中国に対する印象が習近平政権になって急速に悪化した。米ピュー・リサーチ・センターが28日公表した調査報告で明らかになった。

習近平氏は10月16日に始まる中国共産党大会で、国家指導者として3期目を務めることが正式に承認される見通し。

今回の調査報告によると、中南米や中東、アフリカ諸国の一部では中国の経済的な台頭や投資が好意的に受け止められた。ただ日本、韓国、米国、オーストラリアといった先進国では、中国との経済的な競争が「深刻な問題」とみなされている。

先進国国民の中国に対する否定的な意見の割合は2002─17年までは比較的一定の範囲で推移していたが、19年と20年に大きく悪化。これは中国の新型コロナウイルス対応や米国との貿易摩擦、強圧的な外交姿勢、南シナ海における軍事力増強などがきっかけになったとみられている。

米国では中国に「好ましくない見方」を持っている人の割合は、20年の79%から今年は82%に上昇。世界的な問題で正しい行動を取るかという意味で習氏を「全く信頼していない」と答えた割合は韓国で15年の29%から今年は87%に、英国で14年の44%から70%に上昇した。

調査報告の主席執筆者ローラ・シルバー氏は「先進国全体で、習氏の国際問題対応への信頼度は極めて乏しく、中国全般への見方も非常に否定的だ」と指摘した。

北米と欧州ではほとんどの回答者が、対中国政策で自分の国が経済関係より人権を重視すべきだと主張。一方イスラエル、マレーシア、シンガポール、韓国では中国との経済関係強化の方が大事だとの答えが多数派だった。

中国外務省の報道官は29日の定例会見で、この調査結果について問われると、「少数の先進国で行われた調査であり、世界人口の90%近くを占める途上国の見解を代表していない」と指摘。「習主席は14億人の国民から高く支持されている指導者であり、国際社会でも名声を得ている」と述べた。