[東京 9日 ロイター] – 財務省が9日発表した国際収支状況速報によると、2022年4月から9月までの年度上期の経常収支は4兆8458億円の黒字だった。貿易収支の赤字が膨らみ、年度上期の経常黒字額としては14年度以来8年ぶりの低水準となった。

前年同期からは黒字が6兆8627億円減った。経常収支のうち、貿易収支が9兆2334億円の赤字となったほか、サービス収支も3兆1639億円の赤字といずれも振るわなかった。

年度上期の経常黒字額としては20年度の5兆6330億円を下回り、14年度の2兆8163億円以来の水準となる。海外との投資のやり取りを示す第1次所得収支では、18兆2332億円の黒字を稼いだ。

9月単月の経常黒字額は9093億円となり、ロイターの事前予測(2345億円程度の黒字)を上回った。

貿易・サービス収支は2兆1028億円の赤字だったが、第1次所得収支が3兆2226億円の黒字となっており、ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎・経済調査部長は「円安に伴う対外資産からの利息収入が想定以上に増えた」と話す。

年度下期にかけては水際対策緩和に伴う旅行収支の改善が期待されるほか、円安で所得収支が高水準で推移することも予想されるが、「貿易収支の赤字が続き、水準としては上期並みの黒字水準にとどまるだろう」と斎藤氏はみる。