[ワシントン 10日 ロイター] – 米労働省が10日発表した10月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年比伸び率が7.7%で9月の8.2%から減速し、ロイターがまとめた市場予想(8.0%)も下回った。インフレがピークアウトした兆しを示し、米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを落とす可能性がある。

前年比上昇率が8%を下回るのは2月以来で、伸び率は1月以降で最小となった。6月には9.1%と1981年11月以来の大きさを記録していた。

前月比では0.4%上昇で9月と変わらず。市場予想は0.6%上昇だった。

FWDBONDSのチーフエコノミスト、クリストファー・ルプキー氏は「インフレ率はまだ過度に高いものの、FRBのインフレとの戦いが峠を越したとの証拠もあり、今後の利上げペースは鈍化し始める」と指摘。「待ち望まれていたインフレ緩和がようやく現れ始め、市場が熱狂している」と述べた。

3カ月連続で低下していたガソリン価格が上昇に転じたが、財のインフレは減速している。

食品価格が0.6%上昇となったが、伸びは前月から大幅に鈍化。家庭で消費される食品の価格は0.4%上昇と、2021年12月以降で最小となった。肉類、鶏肉、魚、卵、穀物、ベーカリー製品が上昇した一方、果物や野菜は下落した。

しかし複数のエコノミストが、最悪期は去ったとの見方に警鐘を鳴らしている。

フィッチ・レーティングスのチーフエコノミスト、ブライアン・コールトン氏は「サービスインフレは物価上昇圧力が定着しつつある兆候であり、FRBがこれまで行った金融引き締めがインフレに大きな影響を与えたと安心するには、まだ数字は高すぎる」と指摘した。

労働集約的なサービスのインフレ率も、支出がモノからサービスにシフトするにつれて上昇しつつある。

変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前年比6.3%上昇。9月は6.6%上昇だった。前月比では0.3%上昇で、9月(0.6%上昇)から伸びが鈍化した。市場予想は前年比6.5%上昇、前月比0.5%上昇だった。

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コアCPIの上昇は家賃の高騰によってもたらされている。住宅ローン金利の高騰で住宅購入希望者が市場から締め出されているためだ。持ち家の帰属家賃は0.6%上昇。9月は0.8%上昇だった。

コアサービス価格は0.5%上昇した。家賃やその他のサービスを除くと、モノのディスインフレが広がっている。

中古車・トラック価格は2.4%急落した。衣料品の価格も2カ月連続で下落。家具や寝具、家電製品も下落しており、その結果、コア財価格は0.4%下落となった。9月は変わらずだった。

航空運賃は1.1%下落した。医療費は0.5%下落だった。

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▽米CPIが伸び鈍化:識者はこうみる<ロイター日本語版>2022年11月11日1:14 午前