[東京 2日 ロイター] – 自民、公明両党は2日、国家安全保障戦略など防衛3文書改定に向けた実務者協議を開き、焦点だった反撃能力の保有について合意した。安保環境が変化し、朝鮮半島有事などを想定した自衛権の一環としているが、専守防衛を掲げる日本の自衛隊が「盾」、米軍が「鉾」という同盟構造に関わる大きな政策転換となる。

協議後、自民党の熊田裕通議員と公明党の浜地雅一議員が記者団に明らかにした。月内に改定する国家安全保障戦略など防衛関連3文書に反映させる。

自公の実務者協議は先月25日、反撃能力の保有に向けた議論を開始。30日には政府側が、必要最小限の実力行使にとどまるなど「武力行使の3要件」に沿った自衛権行使の一環であるとして、国際法が禁じる先制攻撃に該当しないと説明した。自公側は実際に攻撃する場合の国会承認など、武力攻撃事態認定手続きを踏むことなどを確認した。

反撃能力の保有は安倍晋三元首相が提唱した方針で、当初は敵基地攻撃能力などと呼んでおり、戦後日本の国是である専守防衛からの急激な転換を懸念する公明側の受け入れが焦点だった。このため公明側は、既存のミサイル防衛体制が不十分であることや、あくまで反撃能力の行使は自衛権の行使であることを文書で強調するよう要請していた。

公明・浜地氏は合意に至った背景について「安保環境の大きな変化、ミサイル防衛や迎撃の困難さが、昨今の北朝鮮の動きを見ていると、国民に伝わってきたため」と説明した。

反撃能力を発動するタイミングについては、国際情勢や相手の意図などを総合的に判断するとの認識で一致したのみ述べ、明示を避けた。反撃能力を発動する対象は、必要最小限度の措置の範囲で個別に判断することで合意した。

このほかこの日の会合では、防衛3文書に関し、自衛隊装備品の調達目標などを定める5年間の中期防衛力整備計画(中期防)について、名称から「中期」を削り「防衛力整備計画」とするなどの方針について政府側から説明があった。これまで中期防は5年間の計画を対象としてきたが、後継の防衛力整備計画は5年後、10年後の体制を念頭に5カ年の経費の総額などを示す。