23日、重慶市で、病院のロビーに並べられた中国の新型コロナウイルス患者の病床(AFP時事)
23日、重慶市で、病院のロビーに並べられた中国の新型コロナウイルス患者の病床(AFP時事)

 【北京時事】新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中国で、著名人の「病死」が相次いでいる。中国政府はコロナ関連死の認定基準を極端に高くすることで被害を矮小(わいしょう)化しているが、有名人の死は隠せない。当局発表への不信を高める一因とみられている。

コロナ急増で医師不足深刻 他都市から応援、地方も拡大警戒―北京

 23日の香港紙・明報などによると、中国政府の推計として、今月1~20日に2億4800万人が感染したとする内部資料が流出した。中国の人口14億人の2割に近い。北京市や四川省の感染者は人口の5割を超えているという。約1000万人の人口を抱える山東省青島市では、5%前後に当たる49万~53万人が毎日感染していると当局が明らかにした。

 こうした数字を裏付けるように、直近1週間ほどで10人を超える著名人が相次ぎ死去し関心を集めている。多くは「病死」と発表されたが、コロナに感染していた事実を近親者が明かす例もある。香港メディアによると、18日に死去した京劇俳優の儲蘭蘭氏(39)は、弟子が「コロナ感染による合併症」だったと公表した。

 2008年の北京五輪のマスコットキャラクター「福娃(フーワー)」をデザインした60代の呉冠英氏も20日、死去した。「重い風邪」と報じられたが、コロナに感染したとみられている。俳優の王勁松氏は21日、母親が感染後に死去したとインターネット交流サイト(SNS)で明らかにし、医療資源を高齢者や子供に優先的に振り向けるよう訴えた。

 習近平国家主席の母校である清華大や北京大は連日、退職教員ら大学関係者の訃報を掲示している。報道によると、清華大は今月1~10日に11人の訃報を出したほか、北京大は5日までの約1カ月間で各界の著名研究者を含む少なくとも15人が死去しており、いずれも異常なペースだ。

 中国政府は20日、明確なコロナ感染による肺炎や呼吸不全以外は関連死に含めないとする独自の基準を公表。そのため、公式発表による死者は連日「ゼロ」か1桁で、実態と懸け離れていると考えられている。