[東京 13日 ロイター] – キリンビールの堀口英樹社長は13日の事業方針説明会で、賃上げを検討していることを明らかにした。さまざまな商品が値上げされる中、「賃上げの方向性はある」としている。

持ち株会社のキリンホールディングスの磯崎功典社長が既に賃上げ方針を示し、グループの事業会社に実施を促すとしていた。コスト削減や値上げで賃上げを吸収する方針。キリンビールは2022年10月、ビール類など一部商品を値上げしている。

岸田文雄政権は思い切った賃上げを経済界全体に呼び掛けており、ビール4社大手ではサントリーホールディングスが昇給・ベアあわせて6%超、アサヒビールが5%程度の引き上げを検討。サッポロホールディングスも賃上げの意向を示している。

23年のキリンビールの事業方針は、ビールを軸にブランド力を強化し、同社が力を入れるクラフトビールブランド「スプリングバレー」を中心に市場拡大を目指す。堀口社長は「ボリュームからバリューへの転換」を掲げ、主力ビールの「一番搾り」を2年ぶりにリニューアルする。

税制改正で26年にかけてビールは税率が段階的に下がる一方、発泡酒や第三のビールは増税となる。ビール大手4社ともにビール回帰の流れが加速するとみる。

同日公表したキリンビールの2022年のビール類の販売実績は、市場全体が18年ぶりのプラスになる中、2.5%のマイナスとなった。コロナ禍からの市場の回復をけん引したのは業務用ビールで、堀口社長によるとキリンは業務用よりも家庭用の構成比が高いことが響いた。

(浦中美穂 編集:青山敦子)